νガンダムは伊達じゃない!-こだわりの設計とその強さ、ファンネルの意味ー

νガンダム(ニューガンダム)は映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場する主役機です。映画の上映は1988年3月でした。
その上映から30年後のこと-。
2018年5月にNHK・BSプレミアムで放送されたテレビ番組『全ガンダム大投票』で、νガンダムは なんと全MSの中で人気第1位に輝きました!

この番組は史上初の大規模票数&全ガンダム作品対象というコンセプトでランキングをつくった番組で、170万票以上がガンダムの何か(作品、MS、キャラクター、歌)に投票されました。
このような大イベントにおいて、全MSの頂点に選ばれたのは、本当にすごいことです! そんな みんなが大好きなνガンダムについて解説していきたいと思います。

νガンダムのパイロットは誰!?

出典:https://matome.naver.jp/odai/2148204399101946201

νガンダムのパイロットはアムロ・レイです。機動戦士ガンダム(1st)の主人公で初代ガンダム・パイロットとして活躍したり、いじけたりして存在感を示し続け、その後の作品にも登場しています。

マシンに乗って活躍するアニメの主人公というのは元気な男子で人気者、という当たり前を打ち砕き、部屋にこもってパンツ一丁で機械いじりに熱中するオタクタイプの民間人として最初は登場しました。
機動戦士ガンダム(1st)においては、シャアに負け、ランバ・ラルに負け、ブライトに怒られ、いじけてガンダムに黙って乗って家出して仲間に迷惑をかけてきたような少年でした。
数々の困難を乗り越えてやがてシャアに「今の私ではガンダムは倒せん」と言わせるまで強くなったことは感動でした。

機動戦士Zガンダムにおいては、戦いから離れ、軍に監視され見えない檻の中で光を失いかけましたが、悩んだ末にやはり再び戦うことに挑戦してくれたことにうれしさを感じました。

逆襲のシャアにおいては、とうとう組織にキャリア的にも認められたアムロを見ることができます。
私は逆襲のシャアを初めて観たとき、落ち着いた様子でブライトとタメ口で会話しているアムロに驚き、その瞬間 2人のそれまでの関係の深さと、
どこかであったであろうお互いに認め合って心を開いて初めて会話した瞬間のことを想像しうれしくなりました。

パイロットとしての活躍だけでなく、人の成長による感動でも私たちを楽しませてくれる、そんなすばらしい人物です。



νガンダムの片側固定ファンネルは使い捨て!

出典:https://gundam.fandom.com/wiki/File:Nu_Gundam_Ver_Ka_(DOME-G).jpg

νガンダムはなんとアムロが基礎設計しています。開発はアナハイム・エレクトロニクス社です。
ということは、どこかでアムロが設計図をアナハイム・エレクトロニクス社の技術者にお披露目し、説明と質疑応答をする機会があったはずですが、
わたしはそのときの様子を次のように想像します。

アムロ「これが図面です」
技術者「アムロさん、…重心が真ん中にありませんが…」
フィン・ファンネルが左側にかたまって着いていて、左側が重そう…。板状に開いていて空気抵抗すごそう…。
大気中でまっすぐに飛ばせたらフィン・ファンネル側だけ抵抗を受けて、体が左を向いちゃいそうだから、スラスターの位置を考えなきゃ。
左が重くて歩いたら転びそう…。バランサーの対応幅を広くしなきゃ、コストアップだなぁ…。
そのときのアムロは軍のお偉いさんだから、技術者もおそるおそる尋ね、設計思想を確認したことでしょう。
技術者「ではフィン・ファンネルで左側が重いから、シールドは右手に?」
アムロ「シールドも左に」
技術者「(なんでや)」

MSによる実践経験が豊富で、しかも設計できるなんてすごいことです。
長期の教育や研究活動の甲斐あって技術を習得にした技術者を、戦死するかもしれない戦場の前線には送らないことが常識です。
捕虜として捕えられ、技術漏えいのリスクがあることを考えると尚更です。
しかしアムロは設計者としてもパイロットとしても実力があり、そして認められているのでどちらも第一線で活躍できるのです。

νガンダムの設計には、アムロならではのこだわりがあります。
前提としてアムロ専用機になりますので、様々なタイプのユーザーに合わせた親切設計や、量産のための汎用的な設計など必要ありません。

また、宇宙専用機ということで割り切っていれば無重力空間活動が前提ですから、無視できる設計要件もあったことでしょう。
技術者視点では、どうしても今後の開発展開次第では、将来地上でも使いたいと言われるかもしれないからとか、宇宙での活動が前提としてもコロニー内に入るかもしれないからとか思い、
念のためにしておいた方が良い措置について どうしても気にしてしまって、せめて6基あるフィン・ファンネルは左右3基ずつ付けませんか? とか思ってしまうわけです。

でもアムロには別のものが見えていたのでしょう。右手が何もあたらずにぐるっと大きく回せるのがいい、とか。

実際のところ、急いで開発して戦場に投入したいという理由もあり、そのときできる対応をしたらこうなったという話もあります。
フィン・ファンネル自体試験的実用ですので、将来的にファンネルを増設するつもりだから右側をあけているとか。

ところで、
技術者「アムロさん、…ファンネルが帰ってくる巣がありませんが、回収は」
アムロ「回収はできない。使い捨てになる」
これは、急造・早期戦場投入を優先するためそうなりました。
もったいないと思うかもしれませんが、量産機ではありませんから許容されました。

アムロ「開発よろしく」



νガンダムのファンネルはバリアになる!

出典:http://gundamlog.com/archives/39245076.html

νガンダムに搭載されたフィン・ファンネルはバリアを形成することでも、視聴者を驚かせました。
6基あるフィン・ファンネルのうち5基を使用して五面体の頂点にし、全方位対応の防御フィールドが展開されます。

このバリアの正体はメガ粒子です。低出力のメガ粒子を照射しています。
技術の応用で、後に1点の出力器から形状展開できるようになり、ビームシールドの原型となりました。



νガンダムとサザビーの強さを比較して、どのような勝負だったか考える

サザビーはシャア専用のMSで、ファンネルを6基搭載しています。νガンダムと同基数ですね。
シャアは総帥・政治家として活躍する覚悟を持ったとき、アムロとは違う力を伸ばして目的を達成するという自身の生き方を描いたはずですが、
心の奥ではパイロットとして、アムロと正々堂々たる一騎打ちをすることにこだわりを持っていたように思えます。

当時、サイコフレーム技術ではシャア率いる新生ネオ・ジオンが先行していましたが、シャアはアムロがアナハイム・エレクトロニクス社で新型のガンダムを開発していることを知り、意図的にアナハイム・エレクトロニクス社にサイコフレームの技術を漏らしたのです。

そしてνガンダムに搭載されたサイコミュの反応速度・品質は向上し、地球連邦軍とアナハイムエレクトロニクス社の元々の技術力より想定されていた能力よりも高い能力のνガンダムが実現しました。

幾度も戦場で交わり、互いの主張と力をぶつけ合ってきたシャアとアムロ。
シャアによって準備されたとも言える堂々たる戦いができる環境で繰り広げられるνガンダムとサザビーの対決は、長年続いた「白い奴」と「赤い色のモビルスーツ」の対決の象徴でもあります。

出典:https://sumapo.com/image/95970.html

さて、シャアにより技術格差が縮まる形で戦場投入されたνガンダムとサザビーですが、この2機の機体はどちらが優れているのでしょうか?
スペック設計のコンセプトを挙げるならば、νガンダムは高安定性、サザビーは高出力と表現できます。

νガンダムは量産機ジェガンの系譜による設計で、共用部品も使用されています。量産機で数多く評価された機体は、それだけ改善・アップグレードされており、戦場での行動の精度を高めます。
クェスのα・アジールとギュネイのヤクト・ドーガに挟み撃ちされても立ち回る機動性は、この高安定性によりなせるものです。

一方 サザビーは設計の多くが新規のものであり、設計検証がνガンダムほど多くなされていません。たとえ理論上優れているものを設計しても、実機をつくり動かすと思いもよらぬ不具合が見つかり苦労するものです。
サザビーともなれば優れた技術者陣で開発されていますが、無傷の機体評価ならともかく、機体の一部が敵の攻撃により破損した状況など、設計上のリスク分析におけるケース考察の深さは果てしないものです。

腰に被弾して深さ3メートルの破損があった場合に出力が落ちたという実践結果があれば、腰関連部分の設計を修正して改良するのです。そのようなアップグレードを繰り返してきた部品を用いたνガンダムと、装甲は厚く頑丈な設計だが実践でのデータが手薄なサザビー、どちらが優れているでしょうか!?

ここまでνガンダムを賞賛して言うのもなんですが、戦場には様々な戦局と環境がありますので、一概にはどちらが常に優れてるかを語るのは難しいです。
サザビーはその装甲とパワーゆえに進軍(前線拡大)に強い威力を発揮しますが、強い敵に粘着されると 拡散メガ粒子砲を避けられたら基礎出力保持のためにしばらく防戦になるなど、得意ではありません。
大きな戦線の中でサザビーが影響を及ぼした場面は多かったことでしょう。

この点、進軍して目標を達成してもらいたい新生ネオ・ジオンのエンジニア達の想いと、アムロに戦場であったらアムロ個人と決着をつけたいシャアの心の奥の想いにミスマッチングがあり、敗れたと言えるかもしれません。



νガンダムの性能と強さをもっと理解する! やっぱり最強と言いたい!

νガンダムが活躍した宇宙世紀0093年では、MSのサイズがこれまでより大きいのを知っていますか?
1stガンダムの顔の高さが、νガンダムのだいたい胸くらいでしょうか。大きいのは様々な機能が盛り込まれる時流だったからと言われています。

逆襲のシャアで登場した様々なテクノロジーのうち、印象に残るのはエアバッグでしょう。
私たちが暮らす現実世界では、F1レース用エアバックの研究がされましたが、高速で発生する事故に対応しようとすると、エアバックが膨らむ速度を相当早くしなければならないため、ドライバーの体前面に激しく当たるのが危なく、実現が難しいとされています。

宇宙世紀0093年では、高速で膨らみ、高速で収縮するような動作で体をソフトキャッチしているものと思われますが、すごい技術ですね。しかも継続する戦闘に対応するために、展開後のエアバッグが再びしまわれていきます。

さて、逆襲のシャア劇中でνガンダムが見せた最強技は、もちろんアクシズを押し戻したことです。
これは共感した仲間たち皆の成果ですが、最後まで押しきったのはνガンダムでしたね。
仲間たちの離脱を即した緑色の光の力といい、必死さのなかにやさしさを孕んだすばらしいシーンでした。
解明できない力を持つがゆえに最強を想像させる機体、…それがνガンダムです!



最後に -νガンダムは伊達じゃない…!-

いかがでしたでしょうか!
劇場公開当時は、今ほど宇宙世紀が進んだ物語はありませんでしたから、フィン・ファンネルやそのバリアを初めてみた視聴者は、技術の進歩に驚きました。

アニメの中にもアニメなりのリアリティをもたせてきたガンダムシリーズですから、新しい技術を物語に持ちこむにあたり、それが非現実的さを助長しないよう様々な想いがめぐらされることと思いますが、フィン・ファンネルとそれを装備したνガンダムは、革新と驚きを持って受け入れられました。今後の物語中の技術の進歩にも期待し、ガンダムを楽しみましょう!

…最後の最後にどうしても言いたいことをひとこと。
逆襲のシャアにおいて、私が一番 哀しさ(かなしさ)を感じた些細なことを伝えたいと思います。
それは、アムロと違い、ファンネルを動かすために頭にサイコミュ増幅装置(ヘッドギア)を付けるシャアのことです。
総帥というキャリアは最高のキャリアです。
ですが、何か大事なことで負けている。誰も指摘しないシャアのコンプレックスが私は哀しく、そして想いを馳せました。

逆襲のシャア。大好きな作品です。



関連記事一覧